【ブログ】2020年度秋学期 研究会スタート!

こんにちは、
MET LABゼミ SAの藤野です!

夏休みが明けて、本格的に2020年度秋学期のMETLABゼミがスタートしましたのでご報告です…!

今学期から弊ゼミに所属となった新規生とも、オンライン上ですが交流をすることができ、本当に嬉しい限りです…みなさん、これからよろしくお願いします!
そこで、今回のブログでは、普段の研究会(火曜4,5限)内での活動を紹介させていただきます。

1.輪読

白木正規(著)『新・百万人の天気教室』という本を、章ごとに皆で担当を分担し、毎週3人ずつ担当章での内容をスライドにまとめて発表しています。
気象学を学ぶ上での基礎を身につけるために、輪読の時間はとても大切なので、研究会が発足した当初からずっと続けている時間です。

2.ウェザーマップディスカッション

天気図解析のグループワークを行っています。
当日午前の地上天気図や高層天気図、衛星画像、解析図などを見て、札幌・新潟・松山・那覇の4地点について午後の天気を予想しています。

主に、気圧・風向・気温・天気・高度1kmの風速などを解析しています。

3.進捗報告会

班に分かれて、個々の研究の進捗報告を行います。
班によって方法は違いますが、私の班では毎週2人ずつスライドを作成し、報告を行っています。メンバーに発表することで、アドバイスや意見をいただけるので、研究を進めていく上でとても良い機会となっています。

大学院生も一緒に参加してくださっているので、学部生にとってはとても心強いです!

4.空観察

皆で教室を出てSFCのキャンパス内で、気象測器を用いて観測を行っています。気温・風向・風速・湿度などを観測し、記録しています。
昨年までのオンキャンパスでは毎週実施していましたが、今年はオンラインのため、まだできていません…楽しい時間でしたので残念です

以上が研究会での活動紹介です!

まだ制限はありますが、少しずつ学校や研究室にも行けるようになりました。研究会自体はまだ、今学期も基本はオンライン実施となります。早く皆で対面して研究会を行える日を楽しみにしています。

それではまた、ブログでお会いしましょう〜!

【ブログ】2020年度 夏の特プロ③ 〜ディスカッション〜

こんにちは、
MET LABゼミの小野です!
先日のブログに引き続き、夏の特プロとして実施したディスカッションについてご説明します。

・・・前編を先にご覧ください!
▼①観測編
https://met-lab.sfc.keio.ac.jp/872
▼②解析編
https://met-lab.sfc.keio.ac.jp/?p=934

Pythonの解析実習の後、4・5人のグループに分けディスカッション・発表を行いました。

2020年9月に発生し日本に接近した、令和2年台風第10号(Haishen)は“最強クラス”とも言われ、最大限の警戒が呼びかけられました。しかしながら、台風10号は接近直前に急激に勢力を落とし、昨年の台風15・ 19号ほどの規模の被害にはなりませんでした。

気象庁は、予報よりも早く勢力が弱まり、西日本を中心とした雨量も少なく、高潮となった地点が少なかった要因が以下である、と発表しました。

  1. 台風の発達が抑えられたのは、東シナ海から台風に乾燥空気が流入したことが影響したと考えられます。また、海面水温の低下に伴う予報への影響については限定的であった。
  2. 西日本での雨量が少なかったのは、台風が速い速度で九州西海上を北上したため強い雨が長時間続かなかったことに加え、数値予報モデルを統計的に補正する手法(ガイダンス)が過大な予想をしたためであった。
  3. 高潮が発生した地点が少なかったのは、潮位偏差(潮位から天文潮位を差し引いた値)のピーク時刻が満潮時刻とずれたこと等が要因であった。

一方、海水温度の低下などメカニズム要因の他にも被害を抑えられた要因が要因があるのではないでしょうか。私たちは以下をテーマとし、検証しました。

▶︎テーマ;
台風10号による被害が、想定よりも大幅に少なかった理由。
〜台風自体弱まった点以外に注目して〜

4グループに分かれて、情報収集や自分の感じたことを話し合うことで、要因を探りました。

挙げられた事例をいくつか紹介します。

  • 早期のメディア報道がされたこと
    →ニュースで風速60m/sによる被害の大きさを、映像で伝えていた。
  • 市民の危機・防災意識が高まっていたこと
    →新型コロナウイルスによる感染症を含め、非常事態への意識の高まっていた。
  • インフラや自治体の対応が、事前に呼びかけられていたこと。
    →ハザードマップを確認するような呼びかけ、GoToキャンペーンを利用したホテル避難をする人も。(避難場所がいわゆる「避難所」だけじゃない良さ?)
  • 台風の規模が予報精度を上回ったこと。
    →過去のデータがなく、計算値を補正する確実な手法がなかった?
  • 昨年の台風を踏まえ、新たな対策が練られていたこと
    →エネルギー強靭化法により電力の早期復旧が可能に。

このようにグループワークでは1時間と限られた時間ながら、それぞれ質の高い議論・発表を実施できました。

以上、3回にわたって今年度の夏の特プロについてご報告させていただきました。全回オンラインでの実施となりましたが、新たな特プロのスタイルとして確立することもできました。

このブログを通して、少しでも気象学研究会の活動内容や雰囲気が伝われば、幸いです。

今後とも気象学研究会の活動に、ご注目ください!

参考
・気象庁 報道発表「令和2年台風第10号における予報の検証(速報)」
https://www.jma.go.jp/jma/press/2009/16a/20200916_kensyou.html

【ブログ】2020年度 夏の特プロ② 〜解析〜

こんにちは、
MET LABの小野です!
先日のブログに引き続き、夏の特プロとして実施した観測データの分析についてご説明します。
まだ第1弾の観測編を読んでいない方は、ぜひ先にご覧ください…!
▼①観測編
https://met-lab.sfc.keio.ac.jp/872

気象学研究会ではプログラミング言語の1つであるPythonを用いて、気象データの解析や研究を行っています。
今回は、Python導入~基礎レベルのグループ発展レベルのグループに分けて、『観測データを解析する』という課題に取り組みました。

まずPythonで気象観測データを読み込んでみます。
エラーが出てしまうこともありますが、手厚いサポートで理解を深めていきます。
予定よりも早く進めることができ、初めてのゼミ生でもグラフを重ねて描画するなど、発展した内容まで扱うことができました。
発展レベルでは、まず自分の力で描画。気象研究で用いる等値線をPythonで描画する方法を学びました。

解析実習では研究会SAの藤野さん・伊藤さんにコードの書き方などを解説していただきました。初めてのゼミ生向けに、Google Colaboratoryで解説を進めていきました。
(前回の特プロ@種子島で、Pythonのインストール・環境構築に相当な時間がかかってしまったことから…)

*Google Colaboratoryとは.
Googleが機械学習の教育、研究を目的として開発したツール。
Pythonの環境構築をせずに、ブラウザからPythonを記述し実行できる。

宮本先生や普段研究でPythonを使っている皆さんのサポートもあり、オンラインながら充実した解析実習となり、「初めてながら楽しめた」という感想が多く伺えました。
機械学習は奥深い世界ですが、今後の研究手法の一つとして活用してもらえれば幸いです。